希少な古布の需要について
古布を用いた小物や服などが今トレンドだということで注目されています。
デザイン性の高さや使い心地のよさやから昨今古布は、新しいファッションの提案性を持ち、快適な着心地などもあって幅広い年代の人々に注目されています。
日本の古布は、明治や大正、昭和初期くらいまでの着物や布のことです。
それより前の江戸時代や平安時代の物などもあるといわれていますが、そうした古い布はとても希少で歴史的な価値も高くあります。
そうした布を現代の形で使用するファッションスタイルが今注目されています。
絹を平織りにし撚りをかけたちりめんや藍染や草木染などの方法で染色した木綿などはとても美しく
こうした昔の和装に使われた布の美しさに魅せられて骨董市巡りをする外国人たちなどの姿もあり、世界的にも日本の古布は注目されています。
例えば、こうした布を新しい形に生まれ変わらせる方法の一つに裂き織りという織り方があるのです。
裂き織りの発祥地は東北地方で、この織り方が始まったのは江戸時代中期といわれます。
布製品が貴重であった東北地方で、一つのものをより長く大切に使うという人々の工夫からこの織り方が誕生しました。
着ている服などが古くなると裂いて麻の紐等といっしょに織り直すのです。
そして掛け物や帯などに作り直していきます。さらにそれが古くなってくると、次は全てほどいておんぶ紐などに使われていたということです。
古い布を用いたアイテムの魅力は、現在生産されていない大変希少な古い布の素材が使用されて製作されているため、それぞれ一点物であるということ。
そして、同製品の再入荷はないということなのです。長く大切に使用することで物を大切に使うという考え方を実践できるということです。
こうした古い布の価値が注目されているのは日本だけではありません。
フランスでも希少価値が高い布を大切に使うという考え方は大切に引き継がれています。
例えば、19世紀の手紡ぎ手織り農婦のケルシュ布はフランスでも希少価値が高く高価な古い布です。
このケルシュ布は、アルザス地方の農家で古くから織られていた伝統的な織物で、19世紀中期から後期の頃に織られていました。
リネンを各家庭で育てて手で紡ぎ、天然先染めで手織りするというとても風合いがある手作り布です。凸凹もあり、自然独特の風合いをもつとても手の込んだ珍しい布です。
希少な古布は現代でも高い価値を持っており、古き良き伝統や人々の生活習慣の中から生み出され、引き継がれているのです。